遺言書がないとどうなる?
 遺言書がない場合は法定相続による相続または相続人全員での遺産分割協議による相続になります。

相続人は誰か?
 相続人は法律で範囲が決められており(法定相続)誰もが相続人になるわけではありません。
 法定相続の場合は以下のようになります。
配偶者は常に相続人になります。
配偶者以外は第一順位 子、第二順位 父母、祖父母 第三順位 兄弟姉妹
 遺言による指定相続以外は戸籍を取得して相続人が誰であるかを確定する必要があります。遺産分割後に新たに相続人が現れたときは遺産分割をやり直さなければなりません。

相続する財産は何か?
 相続人は、相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。ただし被相続人の一身に専属したものは含まれません。

<積極財産>
 不動産(土地、建物)、借地借家権、預貯金、債権、ゴルフ会員権、株券(有価証券)、車など
<消極財産>
借金(住宅ローンなど未払いの金銭債務)など。

 扶養義務や年金受給権などは一身専属的な権利であり相続の対象ではありません。

法定相続とは?相続分はどのくらい?
 法定相続とは法律で定められた相続人が法律で定められた割合で相続することです。

<法定相続の参考例  財産が現金1,000万円の場合>

相続人
相続額
割合
配偶者のみ 1,000万 全て
子供のみ(2人) 各500万 各1/2
配偶者と子供(2人) 配偶者500万、子供各250万 配偶者1/2、子供各1/4
被相続人の親のみ 父、母各500万 各1/2
配偶者と被相続人の親 配偶者660万 親各170万 配偶者2/3、親各1/6
配偶者と被相続人の兄弟姉妹(2人) 配偶者750万、兄弟姉妹各125万 配偶者3/4、兄弟姉妹各1/8
遺産分割方法は?
 分割方法には「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有」の4つがあります。「現物分割」は預貯金を長男と次男で各1/2、土地も各1/2ずつ相続するなど文字どおり相続財産の現物を分割します。「換価分割」は相続財産を売却し金銭に換価し分割します。「代償分割」は特定の相続人が多く相続した場合に他の相続人に対して相続分に相当する金銭を支払うなどをして分割します。「共有」は財産を分割せずに相続人が共有します。

遺産分割の話し合いがまとまらない場合は?
 遺産分割の話し合いがまとまらないときは家庭裁判所に調停の申立てをして調停による分割を行います。調停は家事審判員と調停委員が相続人の話を聞き相続人の諸事情を考慮して相続分を決めていきます。調停が不調に終わると次は家庭裁判所の審判へ移行します。

借金も相続するの?
 借金も相続財産に含まれます。借金を相続したくない場合は「限定承認」か「相続放棄」をします。「限定承認」は相続した範囲内で債務(借金)を返済し残りを相続します。家庭裁判所に申立てを行い審判で限定承認を認めてもらう必要があります。
「相続放棄」とは明らかにプラスの財産よりマイナスの財産が多い場合に相続を放棄することです。家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出します。

相続権が侵害されたらどうするの?
 相続分が著しく少ないなど相続権が侵害されたときは遺留分減殺請求権を行使します。遺留分減殺請求とは相続人が必ずもらえる相続分である遺留分を請求できる権利です。ただし、遺留分減殺請求権は相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅します。また相続開始の時から10年を経過したときも同様ですので注意が必要です。

相続人が未成年の場合は?
 相続人が未成年の場合は親が代理人になることは利益が相反するため認められていません。家庭裁判所に特別代理人選任の申立てを行う必要があります。

自分は長男で長い間、病気の親の面倒をみていたが他の相続人より財産を多く相続できるの?
 「寄与分」が認められ他の相続人より多く財産を相続できる場合があります。被相続人の療養看護や生活費の負担、財産の維持や増加に貢献した場合などに財産を多く相続できる場合があり、これを寄与分といいます。寄与分の割合は相続人間の話し合いで決めます。話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所への調停申立てに付随して申立てをします。

長男は被相続人(父)の生前にマイホーム購入資金として500万円の贈与を受けています。生前贈与を考慮しないで遺産分割をすると不公平ではないでしょうか?
 
この場合は生前贈与の500万円を「特別受益」として相続財産に組み込んで遺産分割をすることもできます。

<参考例>
相続人: 長男、次男
遺産:現金1,000万円
長男の特別受益:500万円
相続財産:現金1,000万円+長男の特別受益500万円=1,500万円

長男の相続分  1,500万円×1/2-500万円=250万円
次男の相続分  1,500万円×1/2=750万円

特別受益を考慮すると相続分は上記のようになります。

相続税は必ず払うの?
 必ず払うものではありません。控除額を超える場合に課税されます。控除額は5,000万円+相続人1人につき1,000万円です。相続税が発生するケースは全体の5%程度です。

先妻との間の子にも相続権はあるの?
 先妻との間の子にも相続権があります。法定相続になった場合は先妻の子も後妻の子も相続分は同じです。
 例えば被相続人(亡くなった方)に先妻との間の子一人と後妻との間にも子が一人いた場合は相続人は妻(後妻のみ、先妻に相続権はありません)と先妻との間の子、後妻との間の子になり相続分は妻(後妻)が1/2、先妻の子、後妻の子がそれぞれ1/4となります。

■長男の相続分はどれくらい?
 遺言書がない法定相続の場合は兄弟姉妹の相続分は等分です。長男であっても次男であっても相続分は同じです。

■遺産分割協議証明書とは?
 相続人が遠方に住んでいるなど遺産分割協議書に持ち回りで相続人全員の署名、押印をしてもらうことが大変な場合に遺産分割協議書の表題を「遺産分割協議証明書」とし各相続人が個別に署名、押印するものです。

農地を相続する場合も農地法に基づく移転の許可申請が必要?
 
遺産分割で農地を取得する場合は移転許可申請は必要ありません。(農地法第3条7号)